別館サイトのアクセス解析で見ていると、
「水晶 ガラス 違い」や
「水晶とガラスの見分け方」で検索して来る方がちょくちょくいらっしゃいます。
今回もblog拍手で「見分け方がわかってうれしい」等のコメントをいただきました。
(コメントいつもありがとうございます)
……しかし。
「水晶かガラスか」という問題は、
店頭でこそ切実なのではないでしょうか。
もちろん、手元にすでにある石について、
「ちょっと心配なんだけど、どっちかな」
という場合もあるかと思いますが、その場合、万が一の結果が出てしまうと
「ああ、がっくり」
という悲しいことになります。
その「がっくり」がいやであるために、店の石を目の前にして
「これは、よもやガラスではあるまいな」
……と唸る羽目になるわけで、「水晶かガラスか」を見分けたい第一の現場は店頭です。
だとすると、まさか氷持参で行くわけにもいかず、「水晶をのせると氷が(早く)溶ける」は、水晶の性質を知り、なるほどなるほどと納得する実験としてはおもしろくても、見分けたいときに見分ける方法としては難があります。
では、
私が店頭で見分ける場合、どうするか。まず、最初にはっきりさせておきたいこと。
今回の話の主役はビーズです。原石は除外。なぜなら、原石……

のような、
結晶の形をしているものであれば、実はガラスということはあり得ないからです。(単結晶でも)
ときどき、クラスターを買ったけれど本物でしょうか、という質問を見かけますが、本物と見間違うような形のクラスターをガラスで作るのは不可能です。
逆に本物でないクラスターがあるなら、一つ欲しいです。
あ、これ
↓のように、天然のクラスターに加工をしたものは、
「偽物」といわないことにしています。

これらは、ベースは天然の水晶で、色の付いている部分を人工的に結晶させているもので、「天然の色」ではないけれど「天然石」でないとは言えないのです。
天然石をベースに手を加えたものまで「偽物」と言い出すと、加熱して黄色くしたアメジストはどうするかとか、ほとんど染めてあるらしい真っ黒オニキスのビーズは偽物か? 人工的に何かを加えたことが偽物の条件ならば、アクアオーラ系はすべて偽物……という話になるので、一応は
「加工」のカテゴリとして扱わないと、ややこしくて仕方がありません。
個人的には
これを天然として売るなよ……と声を大にしていたいですが、とにもかくにもベースは天然なので、ここでは「加工」カテゴリに入れます。
たとえば黄色くしたアメジストをトパーズとして売ったら、それは「トパーズの偽物」ですが、石としては天然石の水晶(合成の場合もありますが)です。
つまり、
よく「偽物」という言葉が使われるけれど、その「偽物」の内訳、どういうものを指しているのかをしっかり把握しておかないと、「偽物情報」に踊らされるだけです。ですから、ここでは「本物の水晶の見分け方」とか「偽物の水晶」とは言いません。
あくまでも
水晶とガラスの見分け方。もうひとつ、
水晶と呼べるものの定義も決めておきましょう。
何を水晶と呼び、何が水晶とは呼べないか。
これもはっきりさせておかないと、意外なところで話がズレます。
ここでは、二酸化珪素が結晶したもの、天然では目に見える大きさの結晶を作るものを「水晶」とします。
いきなり鉱物の話で難しそう、とおっしゃらず~。
要するに普通に「水晶」と呼ばれているものが水晶。
一番重要な条件は
「結晶していること」(結晶の形ではなく、構造として結晶していること)
水晶とアメジスト……のように透明なものを水晶、色が付いているものは別……と区別している場合もありますが、ここではアメジストもシトリンもスモーキーも「水晶」です。
カルセドニーやアゲート、オパールは含まないことにします。
合成水晶、つまり人工的に結晶させて作ったものも、一応は水晶の範囲の端っこに入れましょう。
ついでに言っておきますが、合成……人工的に結晶させた水晶は、天然水晶とまったく違った形をしています。
ですから、クラスターや単結晶でガラスはなくても、もしかして合成水晶は……と言うことはありません。

一方で練り水晶やチェリー・クォーツは
水晶とは扱いません。これらは
いくら「水晶を原料にして作りました」「水晶を加工したものです」と言われていても、溶かして固めた「水晶が原料のガラス」ということになるからです。毎度毎度繰り返していることを、なぜまた繰り返すかというと、これも
「見分け方」の一段階だから。
こんな例がありました。
ビーズを探していると、微妙な色合いのタイガーアイを見つけました。
レッド・タイガーアイというには若干黄色っぽく(飴色っぽい)、タイガーアイというには明らかに赤い。
天然で赤い色合いがあるマラマンバ・タイガーアイは、加熱して赤くしたレッド・タイガーアイと比べると黄色みがある赤銅色なので、もしかしてマラマンバ、いや、この値段とこの量(たくさんあった)では違うだろう……と思い、聞いてみました。
KURO:「すみません、この赤っぽいタイガーアイなんですけど、天然……」
店員さん:「はい、天然です」
KURO:「……の色なんでしょうか。普通の赤いタイガーアイは加熱ですよね」
店員さん:「あ、色は加工です。加熱だと聞いてます」
ここで私が「加工してあったら天然とは言わない」というつもりだったり「天然の色(加工してない色)」というつもりで「天然ですか」と聞いていたら、「天然です」という答えが返ってきて、「そうか、加工してない天然のレッドタイガー・アイか」と勘違いしてしまう可能性もあったわけです。
もしかして、「水晶を原料にしているんだから練り水晶も水晶」というスタンスのお店だったら、「水晶ですか?」と聞いても「水晶です」という答えしか返ってこないでしょうし、商品にも「水晶」としか書かないでしょう。
果たして自分はどのあたりまでを水晶と認めるか。
お店はどういうものを「水晶」といっているか。
迷ったときほど、そのあたりをしっかり見極められないと、水晶の見分けにひびきます。さて、ブレスを買いに、あるいはビーズを買いにお店に行った。
そこで問題「水晶かガラスか」。
悩んだときは
「鷲づかみ」。
ブレスなら一つ丸ごと、連で売っているビーズならそのまま、むんずとつかみます。
見極めるべきは、つかんだときに感じる
「冷たさ」。水晶がガラスより、熱伝導率が高い。つまり温度を高いところから低いところへ伝える力が強いのです。
だから、昨日の記事のように、氷の上に載せれば、石の温度をより冷たい氷の方に伝えて氷を早くとかしますし、手に握れば熱を素早く奪っていくわけです。
ただし、単純に「冷たかったら水晶」とは
いいません。その場所の条件に左右されるからです。
今のような寒い時期に、ひょっとして店の外で売られていたりなんかしたらガラスだって十分冷たくなります。
屋外などの寒い場所、逆にライト照らされで石がほかほかしている場合は、正しい判断は難しいと思いましょう。
普通程度の条件(暖房も、あまり暑くなければOK)でむずとつかんで冷たさをみます。
次に「絶対水晶とわかっているもの」「絶対ガラスとわかっているもの」をつかんで比べます。
(比べる場合、手にはめていたブレスレットなどはダメですよ~体温でほかほかです)
慣れればその石だけでわかりますが、万全を期して「つかみ比べ」がおすすめ。「絶対水晶とわかっているもの」は、ルチルやその他針入り水晶系がいいでしょう。
「絶対ガラスとわかっているもの」は、チェリー・クォーツです。
できれば機会があれば(買おうとするときでなくても)、この二つを握り比べて「違い」を知っておくといいです。
私ははっきり差があると感じるんですが、個人差があると思うので体験しておくに越したことはありません。
「(天然の)水晶の条件」として内包物の有無がありますが、これは、一応は、水晶の内包物はどんなものがあるか、天然の内包具合はどんな感じかを知ってないとちょっと不安。
なぜなら「100%ガラス」のチェリー・クォーツは、見るからに中に何か入ってます。

これも、慣れればストロベリー・クォーツとの違いは歴然なんですが、「内包物があれば」というポイントをそのまま受け取ってみてしまえば天然と間違ってしまうでしょう。
チェリー・クォーツ(ガラス)とストロベリー・クォーツ(水晶)の比較はこちら(丸く磨いた)水晶越しに細い線をみると二重に見える。
……これは、
かなり条件にしばられます。ひとつは、上記のチェリークォーツのような混ざりもの系ビーズでは使えないこと。
丸く磨いたものでなければ判別できないこと(カットしてあったり金属枠にはめられているものはわかりません)
水晶かガラスかの判別はできるけれど、天然水晶か合成水晶かの区別はできない(合成水晶は結晶しているので水晶と同じように見える)
ある程度の大きさがないと判別が難しいこと。
一般的に直径3センチ以上ないと……といわれますが、そこまで大きさがなくても慣れれば判別は可能。私は8ミリほどのビーズで判別したことがあります。
ただし、これも
要・慣れ。
二重に見える場所と見えない場所があることを知った上で、見える角度を探さねばならず、二重に見えるとはどういうことかもわかっていないとそれもできません。
これも、つかみ比べと同じで機会があれば
実際体験しておくことをおすすめします。「水晶は細い線が二重に見えるんだって」というだけで、ぶっつけ本番は難しいでしょう。
ガラス判別に有効なポイントに
「気泡」があります。
これは、チェリー・クォーツのように天然水晶を模したガラスに有効なんですが、この気泡はルーペサイズであるうえ、これも慣れがないと見つけるのが難しいと思われます。

……と、こう書いてくると、
「やっぱり難しいんだ」
「素人には無理なんだ」
と思われるかもしれません。
確かに
「簡単に見分ける方法」はないと言えるでしょう。
簡単に見分けられるものなら「見分けたい」「がっかり」という事態はそもそも起こっていませんよね。
(ビーズなどの)水晶を見分けるには、これまで挙げたようにいろいろなポイントがありますが、それぞれいささか
「慣れ」が必要です。
ここで言っているのはこういうことか、と
、体験して納得したことがないと、いきなりでは見分けられません。
しかし……すごく個人的に言わせてもらうと、いくらビーズやビーズのブレスだからといって、「もしかしてガラスでは」としょっちゅう疑わなくてはならないほど、ガラスものが出回っているとは思えないんですが……。
どこだったかで「雑貨屋でブレスを買ったら本物の水晶でびっくりした」という意見をみたことがあり、そういうことでびっくりする方が逆にびっくりだと思ってました。
もう一度繰り返しますが、ここでの話題は
「水晶かガラスか」です。
「加工してあるんじゃないか」
「これは本当にエレスチャルか」はまた別の話。
加工や産地の話も偽物論議に含まれてしまうので、天然石はやたらにいろいろ心配しなければならないように思われますが、加工や産地問題と「水晶かガラスか」を切り離し、それだけに注目すれば、意外に悩む点は少ないと思ってます。
まず……
チェリー・クォーツや
こちら↓のような「レモン・クォーツ」がガラスであることを覚えておけば、それだけで危険度は減。

ちょっと自信がなければ、すでに書いたような「握り比べ」と気泡の有無でチェックできます。
内包物(針状のもの、ガーデン・クォーツ系)入りは、中に入っているのが本当にルチルか否かという問題はあっても、まず水晶とみて間違いないでしょう。ルチルの偽物があるという話はしつこく聞きますが、本物と間違うような偽物(人工的に作ったもの)は、まだお目にかかったことがありません。
つまり、もし実在したとしても、もしかして偽物?と心配するほど頻繁にお目にかかる代物ではない。
水晶では、まだらに白い濁りがあるものは天然とみて良いでしょう。
合成やガラスで作るとしてもどうせ作るならきれいなものを作って高く売れた方がいいので、わざわざ白い濁り入りのものは作らないでしょうから。
白い濁りといってもこれ
↓はガラスです。

人工オパールや人工ムーンストーン、オパライトなどの名前でも見かけます。「ミルキー・クォーツ」として売られていたこともあります。
黒っぽいものの上で見たときに、オパールのような青みを感じるようであれば、このガラスである可能性が大。
……となるとガラスかで注意すべきは、内包物なしで透明な水晶。(透明以外色つきも含む)
ここでも知っていれば省けるものはたくさんあります。
透明で濃い緑、透明な青や赤は天然ではありません。天然の水晶にそういう色はないからです
(内包物によって色づいている場合は別です)
透明な黄色と緑、黄色と青など他の色と混ざっている場合も同様です。
良くて合成、でなければガラスです。
みればはっきりわかる色ですから、悩むまでもありません。
クリア、アメジスト、シトリンには、天然、合成、実はガラスの場合が考えられます。ガラスかどうかは、すでに書いた「握り比べ」などでチェックできるでしょうが、合成の場合はそれではチェックできません。
一連全部がクラックも濁りもなく均一な色で揃っている……などの場合は、「もしかして合成」の可能性も覚悟しなければなりません。
(シトリンでこれはガラスだろうと思うものに出会ったことがあります)
逆に「エレスチャル」「スーパーセブン」のようにクリアとアメジストが混じったり、ぽつぽつ内包物が混じっているビーズは、天然です。
合成もガラスもあり得ません。(それが本当にエレスチャルかは別問題)
このように「水晶」全部を片っ端から疑っていたら疲れてしまいますが、これは問題外(ガラス確定)、これは大丈夫(ルチル入り水晶や「エレスチャル」「スーパーセブン」)、注意するのはこれとこれで、チェック方法はこれとわかっていれば、さほどおそれることもありません。
ここで挙げた以外にも迷うものはあるかもしれませんが、それは少数派だと思うので危険だと思うものには手を出さないか、一度調べてみてからという余裕を持った方がいいかもしれないですね。
「でも、自分は初心者だし」
……とおっしゃるかもしれませんが、誰しも最初は初心者で、そこからスタートなので、ダメもとで見比べる、調べる手間を惜しんじゃいけません。
いっそのこと、ガラス確定のチェリー・クォーツのブレスを買って、じっくり見比べる教材にしてみるくらいの気持ちちでがんばりましょう。
「だってわからないんだもん」と、そこで止まっていては、石と仲良くなれません。
最後に、ささやかに
裏技(というほどのこともないですが)。
今まで書いてきた判別法は、水晶だけでできたブレスや連のビーズで有効です。
粒売りのビーズ、いろんな種類の石が混ざったブレス、ネット通販の場合は使えません。
そんな場合は……
お店の人に聞きましょう!(ネットの場合は問い合わせ)
当たり前といえば当たり前ですが、聞くことでわずかでも危険回避できるなら聞いてみる価値はあります。
その場合、
「石には、ガラスだったり、名前と違う石だったり、染めなどの加工があると聞きました。
私は、できれば加工ではない天然石が欲しいと思って探しています。
このブレスにはそういう可能性のある石は使われていますか?」
……のように、
自分がどういう基準で探しているかをはっきり伝えることがコツです。
「天然ですか?」ではすでに書いたタイガーアイの例のように、石は天然だけど色は加工のような石では意見がずれます。お店が「練りでも天然」と考えているかもしれません。
「名前違いは困る」「加工なしが希望」としっかり伝えれば、お店がそれを知っていた場合はちゃんと教えてくれるでしょう。
ただし、石のお店といえど、専門家ではありません。
問屋が付けた名前や情報をまるのみにして「そういっていたんです」で済ませる店も多いです。
チェリー・クォーツをストロベリー・クォーツとごまかしていたり、ごまかしではなくそう思いこんでいる店も多いです。(かなり)
ですから、聞いたからと言ってそれで安心とはとても言えませんが、危険を減らせる可能性はわずかでもあるわけです。
それから、買ったあとで名前を忘れてしまう場合も多いので、できればメモを。
名前は重要な手がかりです。
ちょくちょく、石の名前を忘れてしまった意味はこういう石だったんだけど、という質問がありますが、意味ではヒントにはなっても石の判別の決定打にはなりません。店によって違う意味をつけている場合も多いからです。
石の意味より名前を覚えておいた方が、あとになって調べる役に立ちます。