ケセラ・ストーンという石があります。
かのクリスタルヒーラー、A・メロディ氏が2007年にネーミングした石だそうで、国内では主にタンブルで見かけます。

ケセラ・ストーンという名前は
「ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)」と言う言葉から付けられたもので、説明には「ケ・セラ・セラ」という歌から取られたと書かれていますが、それが本当ならば、その歌はヒッチコックの「知りすぎていた男」という映画の中で、ドリス・デイと言う歌手がうたっていたものということになります(日本ではペギー・葉山がカバーしています)。
ただ、このフレーズはこの映画が初出ではないようですが……。
さらに「ケ・セラ・セラ」という言葉はスペイン語であると言われていましたが、それもどうやら正しくないようす。
いろいろ調べているサイトさんを見つけたので、こっそりリンクさせてもらいます。(
こちら)さて、このケセラ・ストーン、見かけるのはほとんどタンブルで、値段もタンブルとしてはお高い1000円台~5000円台。私は、さらに安い数百円台のを見つけて手に入れていたのですが、このたび、ひょんなところでビーズを手に入れました。
私は、ビーズでブレスと言っても効能は完全無視。
一にも二にも見た目重視。
たとえばヒマラヤ水晶のように石にまつわるイメージで惹かれることもありますが、何かを期待して石を選ぶのではありません。
時にはアンデシンやモリオンのように高額石を買ってしまうこともあるんですが、たいていは低価格帯で事足ります。
なんと言っても不透明石、ビミョーな石を好き勝手に組み合わせることが多いので、キラキラ「宝石質!」を売りにする石でなくても問題ありません。
先日IJTに連れて行ってもらったときのことです。
宝石イベントではあるのですが、広大な会場の一角には天然石ビーズや原石を扱う店が少しあります。そこをうろちょろしていると、種々雑多なビーズをざらりと箱に入れて売っている店がありました。
天然石でブレスの場合、見た目に透明でキラキラした石が人気ですが、岩石を削ったビーズは、いざ微妙な質感が欲しくて探しても見つからないことが多いです。
なんといっても決まった名前すら付いていないことが多いので、名前で探すこともできない始末。
となれば、見かけたときに探して買うのが得策です。
それにビーズでも「掘る」のは楽しい。
ザックザックと箱の中を
「掘って」いると、なにやら見覚えのある石が。
これは、ケセラ・ストーン!?何でこんな所に?
慌てて確認しましたが、名札も付いておらず
「その他の石」扱いされてます。
うーん、色合いも濃いし、タンブルよりもむしろ質はいいぞ。
よくみる
と私好みの不透明&ビミョーな石。8ミリ、10ミリがあったのでこの際両方を買い込み、会計の時に聞いてみました。
「これは、何という石ですか」
果たして、お店の人曰く(自信たっぷりに)
「ジャスパーです」そうですね、お値段もジャスパーな感じです。
不透明石だし、ジャスパーといわれそうだな~と思っていたら、ズバリ言われてしまいました。
しかし、
ケセラ・ストーンはジャスパーではありません。いろいろな鉱物が混じった岩石……
コングロメレイトです。これは
礫岩(れきがん)とのこと。
直径2ミリ以上の礫(れき)がかたまり、礫と礫の間に泥や石灰質の微粒子が入り込みくっつけている、
天然のモザイク石というわけです。
そういえば、image009で、アクセサリーになっているのを見かけましたっけ。
調べてみたところでは、産地はブラジルバイア州のジュアゼイロ。
混ざっているのは「Feldspar, Calcite, Kaolininte, Iron-oxides, Magnetite. Clinozoistite, and Leucozene are present in trace amounts. Also displays quartz.」だそうです。詳しくは
こちら:海外サイト順番に、長石、カルサイト、カオリナイト、 Iron-oxides(※)、マグネタイト、クリノゾイサイト、Leucozene(※2)、そして石英。この石の青い部分はオパールだそうなので、石英とあるのは石英族・オパールのことでしょうか。

※:Iron-oxidesではヒットしないが、おそらく酸化鉄
※2:Leucozeneも検索でヒットしない。もしかしてLeucoxeneのミス・スペル?
メロディ氏は、このいろいろ混ざった石をスーパーセブンに似ているとかGrand Formationだとか呼んでいるようで、いろいろ麗々しい説明もくっついていますが……まあ、興味があったら検索してみてください。
私がこの石をイメージとしてみるとしたら、
「いろいろ混ざっている」「見た目がビミョー」なところがポイントだと思います。
見て楽しむ石はたいてい、透明でキラキラした、わかりやすく美しい石が人気です。
ビーズでもAAAグレード!とか、宝石質、ジェムグレードと言われると、思わず見てしまいませんか。
ネットで見かけるブレスもキラキラ系のものが多いようす。
私のように不透明地味石をたくさん使うブレスは少数派です。
スーパーセブンや今回のケセラ・ストーンは、ある意味一般的好みの王道からはずれています。
まあ、スーパーセブンは「きれい」「欲しい」という人も多いですが、仮にメロディ氏が注目しておらず、スーパーセブンとしての説明抜きだったらどうでしょう?
全く誰も見向きもしないとはいいませんが、興味を持つ人はぐっと少なかったのではないでしょうか。
アメジストは、好みがあって好きじゃないという人もいます。でも、好きではない人も「きれいだけど、好きじゃない」であって、「きれいとは思わない」と言いきる人は少ないでしょう。
でも、スーパーセブンやケセラストーンは……?
私はワイルド石、変な石、内包物石が好きですから「(ある意味)きれい」「おもしろい」といいますが、少数派であることもわかってます。
スーパーセブンもケセラストーンも、ついでにエレスチャルも、客観的に見たら、素直に「きれい」とは言えないでしょう。
そんな「素直にきれいじゃない石」にメロディ氏が目を付けたということがおもしろい。たぶん、「素直にきれいな石(ある程度手に入りやすくてそこそこ安い)」がだいたい出尽くしてしまって、残るは内包物入りや岩石系だった……というのが真相かも知れませんが(ヘブン&アースの「新製品」を見ているとそんな感じがします)、ともかくもスーパーセブンにせよ、ケセラストーンにせよ、混じっていることを条件とし、それに意味があると言っている、そこが興味深いのです。
なんだか、「あ、スピリチュアル(ニューエイジ)」な感じ。
石がスピリチュアルな力を持っているとかいないとか、そういう話ではなくて、スピリチュアルって何だっけと調べたときに出てきた事柄と、どこか通じるものがあるように思われるのです。
まじめに書くと長くなるので、ざくっというと、1960年代、アメリカを中心ヒッピー・ムーブメントが始まります。その後ヒッピー・ムーブメントと入れ替わるように1970年代後半から80年代にかけてニューエイジ・ブームが起こります。
その動きを後追いするように、日本にもその流れがやってきて、流れの一部として「パワーストーンブーム」が興ります。(1980年代)
欧米と日本のブームにはややタイムラグがあるようで、日本でパワーストーンブームが起こっている間に、欧米のニューエイジはやや下火、しかし90年代後半より精神的な面が強調されて復活、2000年ごろに日本でも浄化やプログラミングなどのクリスタルヒーリング系パワーストーン・ブーム……となるようです。
ちなみに、90年代後半に復活したニューエイジは、その後2001年を迎え……ニューエイジという言葉そのものが新しい時代、漠然と21世紀をイメージしていたために、21世紀以後はニューエイジではなくヒーリングやスピリチュアルと呼ばれるようになっているようです。
この流れの中では、新たな時代のための新たな価値観が模索され……それは価値観によって個人の意識を変え、より多くの人の意識が変わることで社会を、世界を平和的に変化させようと言うものだったのですが……まずは、伝統的キリスト教的価値観が否定され、それに変わるように東洋の思想・宗教(禅やチベット仏教など)が広く紹介されました。
(それはさらに、ネイティブアメリカンの考え方などのもっとプリミティブな思想に変わり、さらにはレムリアやアトランティスというイメージにまで変化していったように思われます)
このキリスト教的価値観の否定から東洋の思想へのあこがれを、
砂漠の思想から森林の思想への変化だと説明しているのを読んだことがあります。
砂漠や森林というのは、キリスト教(母胎となったユダヤ教)、仏教がそれぞれはぐくまれた土地の環境のことです。
砂漠で生まれた宗教は、その厳しい環境故に唯一神などの思想が生まれやすく、一方森の中で生まれた宗教は、いろいろな生き物に囲まれていたことで多神教/輪廻転生などの思想になったのだろうというのです。
どちらが正しい、優れているというのではなく、宗教が、歴史を重ねて作られていく過程で、その土地の環境の影響を受けたと言うだけのことです。
たまたま、砂漠派宗教のキリスト教的社会の中で「今までとは違う、もっと別なものを」という欲求が生まれたとき、目に付いたのは森林の思想(仏教など)だった。
森は、たくさんの木々に囲まれた場所。そこで生まれた思想は、いろいろな考えを、時には異なる神々をも取り込む
融合の思想。日本の八百万の神などは、その最たるものでしょう。
話は戻ってケセラ・ストーンですが、水晶に始まり、あれやこれやの石を紹介してきたクリスタルヒーラーが、次に目を付けたのが、天然モザイク石だった……というのは、ややこじつけですが「もっと別の考え/価値観を」と求めて東洋の思想に惹かれた流れに似ているように思えませんか?
そう思うと、「新しい石です、▲▲のパワーが宿っています」だけではなくて、「
いろいろ混ざっている(グランド・フォーメイション)がキモであるぞよ」と言うメロディ氏には、「なかなかやるな(ニヤリ)」と思ってしまうわけです。
鉱物を単語とすると、岩石は単語が集まったセンテンス(文章)である、という鉱物分野の説明を合わせて考えると、いろいろ混ざったこの石はさらに意味ありげ。
ご覧の通りの個性派石だけど、これはこれでおもしろい、そんな考えもあるんだよ。
これじゃなきゃと決めつけるのではなく、とりあえず受け入れてみる。そこから生まれるものもある。
どーんと構えていればなんとかなるさ、
ケ・セラ・セラ。これはそういう石なのかも。
ケセラストーンビーズで、さっそくブレスも作ってみました。↓
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