さて、タイプ3、
マルチスターモリオンです。
最初に、モリオンだったら全部同じではありません。
今回手持ちのブラジルのモリオン丸玉、ロシア産だというモリオンビーズ、店頭の内モンゴル産モリオンの丸玉も見てみましたが、マルチスターは確認できませんでした。
今のところ見付けたのは
中国・山東省産だけです。
ここからが問題です。
このマルチスター、見え方がかなり淡くて、写真に撮れません。
そのため、なんとかイラストで表現してみました。

スターといっていますが、ローズクォーツのスターとはちがって、ほぼ
光のスポットです。
現れ方も、ほぼ光のスポットだけものから、あわく光の筋を曳くものまでいろいろです。
なにしろ黒い玉なので、ライトで照らせば、光源の反射が出ますが、それとは別の場所に、淡く光のスポットが出ます。
これが通常スターと同じものなら、丸玉を回転させれば、スター(スポット)が出る場所は決まっているので、スポットはやがて視界から外れてしまいます。
ところが、
マルチスターでは、一つが視界から外れると、別のスポットが後を追うように現れます。どこでもスターのように場所を問わないのではなくて、一定の法則性があるというか、
六条スターの延長上に並んでいるようです。
数えていったら、ぐるり一周12個のスポットを確認しました。
光の筋が見える明瞭なタイプでは、その筋の上にスポットが出るのが確認できます。
中にはこのように、視界に入る半球状に3つのスポットが見えて、それが淡い筋でつながっている様子がわかる場合もあります。

通常スターも光の筋に沿って回転させていくと、六条スターは見えなくなっても一本の光の筋だけはぐるりと一周確認できますが、あくまでもスターになるのは2カ所。
途中に明るい場所が現れることはありません。

そこが通常スターと違います。
さらに、マルチスターで光の筋が現れる場合は、六条。(一本が不明瞭な場合もある)
このように整ったスターになるということは、縦横無尽の内包物によるどこでもスターとは違いますし、何より不透明であってこそモリオンなので、透過光でスターが見えるどこでもスターとは異なります。
どこでもスターの石は、透過光ではなくて手前から照らした場合、光のスポットが出る場合があります。

※光の筋に見えていますが、これは透明度のある石なので、スポットが内部まで続いている感じ。

複数見える場合もありますが、出現位置に規則性はなく、これも「どこでもスポット」です。
出現位置に規則性があり、六条の筋をひくとなると、これは
結晶構造に由来すると考えられますが、通常スターは六角柱状の結晶の輪切り面に出るから、結晶軸に従って、丸玉では二カ所のスター。

では、
マルチスターの場合、結晶軸はどうなっているんだろう?ブレスレットを買ったお店の話では、(ミルキークォーツの)マルチスターは、鑑別の人に見てもらったところ「圧力などを受けてC軸がずれた」という見解だったそうですが……ミルキークォーツのは、マルチスターではなくて「どこでもスター」のような気がするし、仮に同じものだとしても、どのようにずれたらモリオンのマルチスターが出るようになるのか……。
わかりません。
わからないと言えばもう一つ。
山東省モリオンには、通常スターもあります。これは「スターモリオン」などで画像検索すれば出てきます。
ローズクォーツのスターを黒地にしたようなものです。
ただし、ローズクォーツでは透明度があるのでスターの筋が内部まで続いて見えていますが、モリオンでは表面だけに見られます。
このマルチスターと通常スター、実は一緒くたに売られています。
ブレスレットには、マルチスポットの中に一粒混じっていましたし、丸玉では普通にモリオン丸玉として売られていて、一つずつチェックしたら「あ、これマルチスター」「こっち通常スター」でした。
数としては通常スターの方が少ない感じ?
これでは、マルチスポットの鉱脈と通常スターの鉱脈が別……というより、二つが混じって採れるのではないかと思えて来ます。
かといって、通常スターとマルチスターは「見え方が違うだけ」でありません。
通常スターモリオンの光の筋をおいかけても、途中でスポットが出たりしませんし、スターの光の筋の合流点が他の場所より明るく光を反射したりしません。
通常スターの見え方が淡くなればマルチスターになる……といわけではないようなのです。
今のところ、山東省モリオンでのマルチスター確率は、かなりのもの。
見るにはかなり明るいライト(光が絞れるもの)が必要ですが、お持ちの方はぜひお試しあれ!