どう説明する?
先日のミネラルフェスタ in 横浜赤レンガ倉庫で、
「エレスチャルってなんですか?」
……とお客さんに聞かれて、
「エレスチャルというのは……」
と、お店の人が説明している場面に連続で遭遇しました。
たまたまだったのか、連続で遭遇するほど頻度の高い質問だったのかはわかりませんが、連続だったので印象に残っています。
答えるお店の人は、
「ヒーラーが付けた名前なんですよ」
「いくつも先端を持ったDTみたいな……」
と、何となく説明しにくそう。
聞くともなしに聞きながら、ふと、自分だったらどう説明するかと考えました。
一番シンプルにいうならば、
「ごつごつ複雑な形をした水晶に、アメリカのヒーラーが付けた名前」
……でしょうか。
もちろん、ビーズでよく言われるアメジストやスモーキーが混じるとか内包物は関係ありません。
あくまでも、形の名前。
ただし、ここまで簡単に言ってしまうと「ごつごつした形」が誤解されそうです。
割れてごつごつした形も含むのか、クラスターはどうか。キャンドルやカテドラルはエレスチャルなのか。
私は、エレスチャルとクラスター、キャンドル、カテドラルを区別して呼びますが、結構あちこちでごちゃごちゃになってます。
わたしとしては、違うから違う名前がついているんだろうから区別しようよ、というスタンスです。(なにぶん天然のものなので、判別しがたいものもあるけれど)
さて、エレスチャル。
私がエレスチャルと呼びたいのは、
◇割れてごつごつしたかけらは含まない
◇クラスター(明らかに別と判別できる結晶がくっつきあって底面があるようなもの)も別。
ただし、クラスターを構成する結晶がエレスチャルというのはあるけれど、全体でごつごつだからエレスチャル ではない。
◇キャンドル・クォーツ、カテドラルとも別。
◇基本は骸晶。
水晶だけでなく幅広く石を扱う人から、
「そんなに細かく言わなくても水晶は水晶だと思うけど?」
と言われたり、また別の人からは
「パワーストーンの名称なんていい加減なものだから」
と言われたりしますが、私にとっては、石はパワーストーンとしての楽しみ方も鉱物としての面白さもどっちもありで、鉱物用語もパワーストーン用語も同率で耳に入ってくるし、水晶を中心に面白い石を探して店をハシゴすれば、「エレスチャル」「カテドラル」という表現で石を扱っているところに出会います。
「あれはパワーストーンだ」
と避けてしまったら、石と出会う間口を自ら狭めることになります。
それはもったいない。
……ということで、これまで
「エレスチャル? エレスチャルって何?」
から始まって、
「これはエレスチャルか? そうでないのか?」
と疑問に思ったことは数知れず。
……ということは、数だけはたくさん見て、これはどうだと頭をひねり、「こうだろう」と自分の中で(時には無理やり)カタをつけてきたということです。
いや~、思えば、悩んだ、悩んだ。
そういえば、今よりもずっとへんてこな説明も山のようにありましたっけ。
「エレスチャルは、普通の水晶と違って内側へ内側へと成長した(だから普通の水晶のような先端がない)」
「骸骨のように内側に空洞を持った水晶」
などなど。
エレスチャルとは違いますが、
「スモーキーにクラスターはない、クラスターは加工されたものだ」
とか
「オパール化した水晶である(ジラソルの説明)」とか、
とか、
「(トルマリン入り水晶は)トルマリンが水晶を溶かしながら内部に向かって成長した」
とか、ちょっと鉱物のことがわかると「へ?」と目が点になる説明もあったのです。
入口はパワーストーンでも、意味や効果にはさっさと興味を失い、いつの間にか鉱物分野にも片足を突っ込み、そういう説明が実にへんてこであるということに気付いた私は、調べ、さらにわからずに悩み、じたばたしながら今に至ります。
……で、たっぷりと個人的意見を含みつつ、エレスチャルを説明するならば。
骸晶という成長の仕方をしたごつごつ水晶に対して、アメリカのヒーラーが付けた名前。
「エレスチャル」と言う言葉の語源や意味は不明。(CelestialのCが取れたという説も)
骸晶というのは、水晶が成長した熱水に水晶となる成分がたっぷり含まれていたため、じっくりゆっくりきれいに成長するのではなく、結晶の角など結晶しやすいところがどんどん成長してしまい、層状になったもの。
あるいは、あっちこっちで一斉に成長が始まってしまい、結果としていくつもの結晶がごちゃっと固まりになったようなごつごつした形になったものを含む。
層状になっているものは、スケルタルと区別されることもある。(骸晶=スケルタルと言う鉱物の用語なので、狭い意味では角の部分が成長し、面の真ん中はへこんで層状になったものが骸晶らしい骸晶)
ゆえに普通の水晶よりもゆっくり何億年もかけて成長したというのは、正しくないと思う。(普通の水晶よりも成長速度は速いと考えられる)
「水晶の長老」は見た目からのイメージということになる。
カテドラルやキャンドルも骸晶の中に含まれるのかもしれないが、わざわざ単独で名前がついているので、エレスチャルとは区別する(区別したい)。
……で、不思議なことに、たっぷり水晶の成分が溶け込んだ熱水の中で成長したというしくみと、キャンドルやカテドラルを省く……を合わせて考えると、エレスチャルという石のイメージの輪郭が見えてきます。
つまり、
たっぷり水晶の成分が溶け込んだ熱水(濃い大地のスープ)の中で成長した→エネルギッシュににょきにょき成長した(どれくらいという具体的な時間はわからないけれど)
キャンドル、カテドラルという、まとまりのある形を省く……ということは、残るは、まとまりのない複雑で無秩序な……それでいてごつごつと迫力のある形。
言い換えれば、熱い大地の力があふれる形をした、それゆえにエネルギッシュな(強いパワーを持つ)水晶である……と。
海外サイトを含めて「エレスチャル」と呼ばれている水晶はどういうものかとしつこく見て(アメリカのヒーラーが付けた名前なので、海外サイトを見た方が、名前に忠実だと思ったので)、「無秩序にエネルギッシュ」と言うイメージを固めたおかげで、今では自分で「これはエレスチャル」「エレスチャル風味(部分的にエレスチャルと呼べるかな)」と判断できるので便利になりました。
それともうひとつ。
「これと言う名前がない水晶もたくさんある」
と割り切ることができました。
今回の石も、エレスチャルで売られていたけど、個人的には「非・エレスチャル」で名前のない水晶扱いです。