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続・ツッコミ石

まずはこちらをどうぞ。この記事はその続きです。

さて、いよいよキモの鉱物的な説明です。

……と、意気込んでも、サフィリンとか、コーディエライトとか、鉱物そのものについては……まあ、いいでしょう。
そこらへんはさすがに鑑別したんだろうし、実際にそういう組み合わせは「ありえない!」というだけの材料もないし。
つっつきたい、というか、頭を整理したいのは、そのほかの部分です。

むしろ歴史とか地理の話かも。

記事を分割したので、あちこちから集めて書きだした情報をもう一度。

鉱物としての説明
◇サフィリン・コーディエライトinシリマナイト
◇鉱物名:サファリン・コーディエライト・イン・シリマナイト(←サフィリンの誤字?)
約38~25億年前の南極付近深部で生成されたと考えられる「超高音変成岩」の一種(←原文ママ。超高温変成岩の誤字?)
◇パンゲアからインドが分離、北上、ユーラシアにぶつかり大陸衝突帯変成地域を形成、
 今もヒマラヤ山脈を押し上げている、大陸の変遷を物語る学術的価値の高い岩石
◇サフィリンは「超高温変成岩」の中でも、等温、減圧という環境変化を受け斜方輝石が置換した石
◇サフィリンはコーディエライトとともに青緑色の層をなし、それが真珠色のシリマナイトと共生する、
 特殊な変成作用が重なって生まれた石。
約25~38億年前に現在の南極付近の地球深部で形成されたと考えられる変成岩
◇超高温高圧で生成し、様々な地殻変動を経たブルーのサフィリンが、コーディエライトとシリマナイトと共生する奇跡の鉱物。
◇シリマナイト、サフィリン、コーディエライト、マイカなどが層状に共生する変成岩
◇インド南部には大陸創生期に生成された「超高温変成岩」が分布しています。
◇世界的にも大変希少価値
◇現在の南極付近からインド北部(ヒマーチャルプラデーシュ州)まで大規模な大陸移動を経たとされている天然石
◇南極でクリスタル化(変成岩)した後、はるばるヒマラヤまで地殻変動により移動した。

石のパワー
※このほかにもチャクラがどうとかいろいろ説明はあるのですが、それはさておき関係のありそうな部分だけ列記します
◇地球創生のエネルギーと宇宙の光を宿す
◇鉱物誕生の由来から『アースシードライト(Earth-Seed-lite)』と命名。
北上を続けるインド亜大陸がヒマラヤの霊峰を天空へ向かわせる壮大なエネルギーを秘めている。
◇超大陸から離れ北上を続けるインド亜大陸がヒマラヤの霊峰を天空へと向かわせる壮大なエネルギーを秘めています
◇造山運動が地上へもたらした奇跡

たくさん書き出してごちゃごちゃしているので、まとめます。

あ、最初に言い訳しておきますが、私は鉱物や岩石などにそれほど詳しいわけではありません。
その詳しくない私が普通に……あるいは単純に考えて「あれ?」と思うことを指摘します。
つじつまが合わないように思えるのですが、それが私の理解不足によるものであれば、他の人も同じようにつまずく可能性もあるわけで、そこらへんがはっきりしたら、わかりやすい説明をお願いしたいです、お店の方

ごちゃごちゃをまとめると。
約38~25億年前の南極付近深部でできた超高温変成岩
◇特殊な変成作用でできたので、組み合わせが珍しい岩石
◇南極付近からインド北部まで移動してきた
◇パンゲア分裂でインドが北上し、ユーラシアにぶつかった事を物語る。それが名前の由来。

こんなかんじでしょうか。

一番最初に引っかかったのは、「パンゲア大陸」です。
たしかにインド亜大陸はパンゲアが分裂してできたもの。
ちょっと詳しくいうと、パンゲア大陸がローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂して、そのときにインドも大陸から分離。
ちょうどゴンドワナから分かれる形で、北上してユーラシア(インドが北上している間にローラシアはユーラシアと北アメリカに分離)にぶつかり、ゴンドワナの方は南アメリカ、アフリカ、南極、オーストラリアに分裂しました。
分裂する前は、インドは南極やオーストラリアにくっついていました。

だから、一見「南極付近でできた深成岩で(その一部がくっついていて)インドにやってきた」と言われると、ふむふむそれで? と納得してしまいそうになるんですが……ちょっと待て。
パンゲア大陸ができたのは2億5000万年前、分裂し始めたのが2億年前
インドや南極大陸が分かれ始めたのは1憶5000万年前くらい。
言うまでもなく、約38~25億年前という説明よりもずっとずっとずっと後。

説明に合わないぞ!

じゃあ、約38~25億年前の大陸事情はどうなっていたのか……?
はっきり言ってあまりに古すぎてよくわかってないようです。

現在の大陸の中には、ずっとずっと昔から大陸の一部だった部分が残っています。
アフリカ大陸の南部の一部分とオーストラリア大陸西部の一部分は特に古く、ここを調査した結果、この2つのエリアが、30億年くらい前にくっついていた可能性があると考えられ、これをバールバラ大陸と呼ぶ……という仮説が近いかんじ。
アフリカとオーストラリアの一部なので、南極はないということになりませんか?
しかも、このバールバラ大陸が存在したとして、地球上のどのあたりにあったのか調べてもわかりませんでした。

それより新しい約20億年前には、ヌーナ大陸(ふつう、これが最初の超大陸と言われている)があったとされています。
その図では
nuna.jpg
インドや南極の一部となる部分がこのあたりと記されているのですが、この大陸は大部分が北半球にあり、(のちの)インドと(のちの)南極はくっついていません。

南極というのが南極大陸ではなく「南極付近」というなら、そこは海なので、そのころの岩が残っているとは考えにくくなります。
というのも、海底のプレートは陸のプレートよりずっと早く更新されるので、2億年より古いものは残らないからです。

……ということで、38億年前~25億年前に南極付近深部で変成岩ができるのか……できたとしてそれがどうやってインドに引っかかってくるのか、わからなくなってきました。

しかも、アースシードライトの名前の由来は「超大陸から離れ北上を続けるインド亜大陸が、ヒマラヤの霊峰を天空へ向かわせる壮大なエネルギーを秘めている」ことからきているそうなんですが、それは、どう考えてもパンゲア分裂以降(1億5000万年前以降)の話なので、38億年前~25億年前に南極付近深部でできたという説明に合いません。

ここで、(苦肉の柵ですが)38億年前~25億年前という説明が何かの間違いだとして、話をパンゲア分裂以降と考えてみたとしても、問題が残ります。

2億年以上前、パンゲアの時代にはインドと南極はくっついていました。
pangea2.jpg
ピンクの楕円のあたりの話です。
以後、インドは分裂して、テチス海を北上、ユーラシアに激突するのですが、後のインド、マニハールがある北部になるのは黄緑色の★のあたりなのです。

インド移動
インドは大体このように移動していきます。
インドが北上している間にも、他の部分は移動・変形しているので、この図はその点は全く正しくありませんが、後にインド北部あたりになる部分は、最初からおしまいまで南極には直接くっついていないのです。
これは
◇南極付近からインド北部まで移動してきた
という説明に合致しません。

ここで、インドの地質を見て見ます。
india-tisitu.jpg

大雑把にいうと、上図のピンク(インド盾状地)と水色(ヒンドスタン沖積地)をあわせたあたりがインド亜大陸。
これがユーラシア大陸に潜り込むようにぶつかりました

盾状地というのは、古くから大陸であった部分で、風化などでその古い地層が現れているところです。
ヒンドスタン沖積地というのは、インダスやガンジスなどの大きな川が流れていて、その堆積物が作った平地、おそらく元は楯状地の一部だったと思います。
この盾状地というのが、ゴンドワナの一部だったということになります。

デカン高原は、インドがゴンドワナからユーラシアまで移動する途中に、地殻深くからマグマがあふれ出す場所(ホットスポット)の上を通り過ぎた際にできたと言われています。

インドがユーラシアにぶつかる際、単純に正面衝突したわけではありません。
インドがユーラシアの下に潜り込むような形になり、その間にユーラシアとインドの衝突によって消えてしまったテチス海の堆積物も巻き込まれました。
ヒマラヤのあたりはさまざまな岩石が縞模様のようにいりまじったごちゃ混ぜ地帯なのです。

チベット高原はインドが下に潜り込んだことで持ち上げられたユーラシアの端っこです。

で、マニハールは、ゴンドワナだった楯状地ではなく、地質ごちゃまぜ地帯のヒマラヤにあります。

ここでパンゲアやゴンドワナ由来の古い岩石が出るのかなあ……?

もうちょっと詳しく見てみます。
india-tisitu2.jpg

見た目で、いろいろごちゃまぜ地帯だということがよくわかります。
何枚もの地図を重ねて変形させて作った図なので、厳密なものではありません。
この図でマニハールの印が「高ヒマラヤ」の色のところにあるから、ここは後期原生代の片麻岩類なんだ! ではなくて、実際はもっと複雑に入りまじっているはずです。
ということで、この図に見える地質とその年代を拾い出してみると。

新第三紀(2,303万年前~258万年前)~第四紀(258万8000年前~現在)、
中生代(約2億5217万年前~約6600万年前)~古生代(約5億4200万~約2億5100万年前)、
後期原生代(10億年前頃)
……という感じ?
とりあえず、移動してきたインド亜大陸がユーラシアにぶつかったことで生まれたごちゃ混ぜ地帯で変成作用もおきているだろうし、思ったより古い地層も出ているようですが、38億年~25億年には及びません。
しかもその変成作用はヒマラヤができた、けっこう新しい時代におこっているはずです。

南極付近の地球深部で超高温変成されてできた岩がここに出てくるとは思えません。
仮に、マニカランという場所で「出た」というならば、その仕組みをちゃんと説明しなければならないし、「超大陸から離れ北上を続けるインド亜大陸が、ヒマラヤの霊峰を天空へ向かわせる壮大なエネルギーを秘めている」ゆえにアースシードライトと名乗るなら、その仕組みだって重要でしょう。
アースシードライトの説明ではまったくそこには触れられていないのです。

ここで、「パワーストーンの説明なんて、結局いい加減なんだよね」とけなして終わりにするのはかんたんです。
でも、私にはひとつ、気になることがありました。

もういっちょ、続きます。

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Author:KURO@虚空座標
水晶好き、ものづくり好き、石の写真好き。
石好きのきっかけはパワーストーンですが、現在は鉱物としても興味を持っている中間派。
石に関するあれこれいろいろ、気の向くままに書いてみます。

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